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2021年 10月 19日
会期:2021年10月17日(日)−31日(日) 10:00-19:00 水曜休 会場:HIGURE17-15cas 「今の絵を描き始めたのは、フィンランドの夏の夜、湖のほとりである。岩場の上に座って、朝から夜、そしてまた朝へと、その様子をずっとみていた。太陽・気温・風・水面・光へと刻々と作用していく現象はそこに身を置く私の想像や思想へも及ぼし、まるで現象の一部として表出するかのように絵となった。だが、その絵はもはやその現象から乖離されたひとつの結末でしかなくなっていた。 目に見えるものがさもその全てであるかのように、絵は境界を表す象徴である。しかし、私が何かの現象に触れることで表出した絵はその現象のほんの一部でしかない。表面に描かれた絵はそれほど重要ではない。一方で表面ではない何かの存在を逆説的に示してくれるのも絵である。隔たれた境界を自らの手で描いたり消したりして互いの存在を確かめ合うと同時にその存在は曖昧なものになっていく。場所、時間、人、自然、生、死、自己、他者。私たちは境界を引くことであらゆる存在を明確にしてきたが、だから息苦しく感じるのかもしれない。境界を知覚すること、そして境界を融かすこと。「自分」から「別人」になること。そうすることで滞っているものを次の現象へと繋げようとする。そうやって私は絵を描いている。」(井上拓哉)
by higure17-15cas
| 2021-10-19 15:28
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