|
2019年 07月 02日
絵:鈴木健太 今回一人芝居として鈴木健太くん演出、高山玲子さん出演で再制作することになりました。照明と美術は初演時と同じ小駒豪さんです。この作品で語られているのは死んで行くということと生まれて来るということです。ある人が死んで行こうとしている時、この言葉は書かれました。広場に生えている樹の傍らにあるベンチに座って。その時の情景を今でも思い出すことが出来ます。声の出演者の1人である萌さんの発話された言葉は彼女自身に書いてもらいました。それが相応しいと思ったからです。素晴らしい詩を彼女は書いてくれました。今回は1人芝居なのでその台詞が何処なのか聴いている人には分からないでしょう。過去に書かれた詩や小説などからの引用もあります。死んで行く時間も生まれて来る時間も自分自身では与り知ることが出来ない、とても不思議な時間です。生と死は溶けあっているように感じられました。ある人がこの世界に生まれて来ようとしている今、この言葉を再生させてみたいと思いました。毎日、何処かで誰かがこの世界から去り、誰かがこの世界へと生まれて来ます。亡くなって行った人たち、生まれて来ようとしている人たち、敬愛してやまない首くくり栲象さんに捧げたいと思います。(2019.6.15) 『とてつもなく明るい黄昏』 鈴木健太 僕はこの作品の初演を知りません。 約5年前、2014年の6月はたしか僕は美学校の演劇講座に通い出したころだから生西さんに出会って間もない時で、どういうわけで見にいかなかったのか、何をしていたか何も覚えてないけどたぶんぼーっとしていたんだろう、それから1年後くらいに初めて舞台作品をつくった。つくったというかやった、つくれたかどうかはわからなくてただ始まって終わった。 そのときつくったもので、強い光を観客席に向けてはなつシーンがあった。演者ではなくて観客が光を浴びていた。終演後お客さんの誰かが、暗転時の“暗くて”見えないブラックアウトする時間に対して、その光を浴びるシーンを“明るすぎて”見えないホワイトアウトする時間だったと言っていた。それは覚えている。 それから2年後、演劇講座第4期の修了公演の稽古に飴屋さん、飴屋法水さんがきてくれた日があって、“相手に聞こえるか聞こえないかの声量で”、と書かれたト書きのあるシーンの稽古をした。その時、隣室から酒を飲んだ人たちの賑わいが漏れてこちらへ聞こえてきてて、それで飴屋さんは「“あの賑やかな音と重なっても、聞こえるか聞こえないかの声”にしてみて。で、たぶんそれはきっとそんなに小さな声じゃないよね?その時その状況によって“相手に聞こえるか聞こえないかの声”って違くて、それはすごく小さな声じゃなくてもあり得るはずだよね?」と言っていた、それも覚えている。 それからさらに2年後、つい最近、生西さんは初演のことを「黄昏時のように女性の顔の表情は見えなくなった」と書いた。その見えない顔は、暗闇によって作り出されたものだったらしい。あたりが暗いと、人は、向こうにいる誰かの顔がみえない。それと同時にたぶん人は、とてつもなく明るくても、向こうにいる誰かの顔がみえない。暗がりの黄昏の一方で、とてつもなく明るい黄昏はあり得るのか。ひとつの場所はひとつの通り道でしか辿り着けないわけじゃない。気づいたら時間は進んでて、知らなかった場所に今いける人と向かう。 (2019.6.25) 「瞬きのあいだ、すべての夢はやさしい」 作:生西康典 演出:鈴木健太 出演:高山玲子 照明/美術:小駒豪 協力:武本拓也、新美太基、HIGURE 17-15 cas、美学校 記録:前澤秀登 キュレーション:藤川公三 日 程:2019年7月18日(木)、19日(金)、20日(土)[全6公演] 時 間: 7月18日(木)夕公演 開演 17:00 /夜公演 開演 20:00 7月19日(金)夕公演 開演 17:00 /夜公演 開演 20:00 7月20日(土)夕公演 開演 15:00 /夜公演 開演 19:00 ※開場は開演の30分前です。 料 金:予約/当日 2,500円 定 員:各回20名 会 場:HIGURE 17-15 cas(地図) 東京都荒川区西日暮里3-17-15 予約はこちらから
by higure17-15cas
| 2019-07-02 23:25
| event
|
ファン申請 |
||