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2009年 07月 27日
昨年の9月にHIGURE 17-15 casで開催された泉イネのプロジェクト「未完 本姉妹 ー灰色い部屋ー」。
当初から期間限定での展開をアナウンスしてきたこのプロジェクトの新たなプレゼンテーションが開催されます。 ***** このたび、泉イネは、期間限定のプロジェクト「未完 本姉妹」から生まれたプロセスを、赤々舎のスペース AKAAKAにて展示します。 泉イネは、2000~07年まで紺泉として、本や雑誌からモティーフを切り取り、厚みのあるパネルに精緻に描いた装飾的な画風の作品を作り続けてきました。2008年9月、HIGURE 17-15 casにてインスタレーション作品をメインに開催した展覧会を皮切りに泉イネとして作品を展開し始め、記憶の断片のような物語を紡ぎながら、絵画を軸に空間、関係を繋いでゆく事象を生み出しています。 今回の展示では、2008年9月以降、泉イネが本姉妹をモティーフに制作してきた過程を紹介します。本姉妹6人+従姉妹が持つ“モノ”の断片を、アクリル絵具を使って緻密に制作された紺泉画風の絵画や、本姉妹と関わるようになって泉がチャレンジし始めた油彩の一部もご覧いただく予定です。また、これまでの泉と本姉妹の関係、本姉妹たちそれぞれの関係をとどめてきた写真やモノ、そして3シリーズ中の1作目として販売している本姉妹本の中に込められた事象をインスタレーションとして展示します。本姉妹と従姉妹、隣のおじさんが初めて会した4月開催の “春の宴”(非公開)の様子は今展示で初お披露目となります。 架空の姉妹である“本姉妹”とある期間関わりながら虚と実を往来する様を、泉は絵画や空間に刻印する作業を続けています。それを泉は「作品は影である」といいます。言い換えれば、泉は本姉妹やそれにまつわるものを舞台にあげ、光をあてることによって生み出される陰影や文様を丁寧に掬いだしているといえます。この一見私的と思える作業やその作品群は、人と人との必然なる/偶然なる関係性が普遍的であることを示唆しています。さまざまな人との出会いから生まれる幾重もの出来事や感情を鋭く切り取る泉の静謐な視点は、私たちが常に悩み、時にはさらされながらももがく、一人間の芯を問うてきます。それは鑑賞者自身の周囲にも同様にあることで、私たちの生き様を泉は淡々と情熱的に眺めていることに気付くでしょう。 ***** 2008年4月、数少ない昔からの友人と会う。 数時間いつものように話していると、やはり彼女の「本の話」が始まる。 嬉しそうに彼女の本棚の、本の序列について語り、 それを眺めて一杯飲むのが幸せだと言う。 何度か聞いて何度も聞き流したことが、その日以来、 彼女の嬉しそうな姿と共に、私の脳に強く記憶された。 — 彼女の本棚を見に行かねばならない — そして同じ頃、私の周りには「本にまつわる女」達が所々に居ることに気がついた。 歳も職種も異なる、それぞれ互いには知り合わない女達。 彼女達は私にとって魅力的な「何か」を持って生きていた。 泉イネ 「イネと本姉妹」より一部抜粋 ***** 泉イネ 「未完 本姉妹 ―ある夏まで―」 会期:2009年8月4日(火)―16日(日)12:00-20:00 月休 会場:AKAAKA 135-0021 東京都江東区白河2-5-10 TEL:03-5620-1475
by higure17-15cas
| 2009-07-27 20:32
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